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③ その他の問題

(1) 6か月の監護期間

 適用法の問題で、たとえば、養子の本国法が日本法の場合、保護要件として、家庭裁判所の許可が必要となります。

 日本法のもとでは、特別養子縁組を成立させるには、養親となる者が養子となる者を6か月以上の期間監護した状況を考慮することが要請されています(民法817条の8 第1項)。

 そこで、6か月の監護期間が必要となり、家庭裁判所の調査官が子の監護の状況を調査することになります。

 日本以外にも、6か月の監護機関について規定している州もあります(カナダのブリティッシュコロンビア州など)

 ここで、仮に、養親が6か月間の監護の期間に、養子を養親の本国に連れて帰って監護する場合、家庭裁判所の調査官の調査に替えて、たとえば養親の本国の養子縁組機関による調査で足りるのかということが問題となりえます。

(2)日本で成立した養子縁組の届出

 日本の裁判所で、特別養子縁組が成立した場合、養子縁組の役所への届出は、すでに成立した養子縁組の報告的な届出となります。

 日本の裁判所で、外国法が準拠法となる断絶型の養子縁組が成立した場合、特別養子縁組に準じた取扱がなされます。養親が外国籍、養子が日本国籍の場合、養子について新戸籍が編成されます。

(3) 日本で成立した養子縁組の外国における効果

 日本で養子縁組が成立しても、たとえば、養親が外国籍の場合、養親の本国で、養子縁組が承認されるかどうかは、別の話です。

 「国際的な養子縁組に関する子の保護及び協力に関する1993年5月29日の条約」(「国際養子縁組条約」と呼びます)においては、子の最善の利益を考慮してその国の公序に明白に反した場合にのみ、別の締約国で成立した養子縁組について、その国において養子縁組が承認されない旨が規定されています(24条 条文の翻訳は正式な訳ではありません)。アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、フィリピン、フランス、ドイツ等が締約国です。

 日本は、この条約の締約国ではありませんので、日本で養子縁組が成立した場合、外国で当然に養子縁組が承認されるわけではありません。

 そこで、たとえば、養親が外国籍で、養子が日本国籍である場合には、日本で養子縁組が成立した場合の外国での効果については、養親の本国法が適用されますから、養親の本国の弁護士に相談し、本国での養子縁組の承認を見据えて、日本での特別養子縁組の審判の申立て及び手続きをすることが望ましいと考えられます。 

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