女性弁護士による、国債相続、国債離婚、英文契約書のチェック、ハーグ条約の相談

弁護士法人キャストグローバル 川口支店

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ハーグ条約に加盟している国から日本への子の連れ去りの場合

当事務所では、国境を越えてハーグ条約の締約国(子の元々の居住地国)から不法に日本に子が連れ去られた場合、または留置された場合(インカミングケースの場合)に、子の返還申立案件での裁判所での申立人、相手方の代理業務相談・サポート業務を行っています。

子の返還申立手続

子の返還の申立手続の管轄は、東京家庭裁判所大阪家庭裁判所に集中しています。


手続は非公開です。


子を連れ去った親が子を日本国外に連れ出すことを防止するための措置として、申請者は、子の返還申立事件が係属する裁判所において出国禁止命令の申立て子の旅券提出命令の申立てを行うことができます。

返還事由

国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(実施法)第27条1項は、子の返還事由を定めています。


返還事由のいずれにも該当する場合、裁判所は、原則として子の返還を命じなければならないことになっています(実施法27条各号参照)。

1 子が16歳に達していないこと

2 子が日本国内に所在していること

3 常居所地国の法令によれば、当該連れ去り又は留置が申立人の有する子につ
    いて監護の権利を侵害するものであること

4 当該連れ去りの時又は当該留置の開始の時に、常居所地国の条約締約国であ
    ること

返還拒否事由

他方で、裁判所は、次の場合のいずれかがある場合には、子の返還を命じてはならないことになっています(実施法28条1項参照 ただし、例外もあります)。

 

1 申立人が連れ去り・留置から1年を経過し
    た後にされ、かつ、子が新たな環境に適応
    していること

2 申立人が連れ去り・留置の時に現実に監護権を行使していなかったこと

3 申立人が連れ去り・留置に同意したこと

4 常居所地国に子を返還することによって、子の心身に害悪を及ぼすことその
    他子を耐え難い状況に置くこととなる重大な危険があること

5 子の年齢及び発達の程度に照らして子の意見を考慮することが適当である場
    合において、子が常居所地国に返還されることを拒んでいること 

6 常居所地国へ子を返還することが日本国における人権及び基本的自由の保護
    に関する基本原則により認められないものであること

但し、1号ないし3号、5号に該当する事由があると認められる場合であっても、裁判所は一切の事情を考慮して常居地国に子を返還することが子の利益に資すると認めるときは子の返還を命ずることができることになっています。

また、2号については、主張・立証の対象は、子を連れ去られた親から子を連れ去った親に対する暴力等があったという事実そのものではなく、その事実のために、子を常居所地に返還することが、子の心身に害悪を及ぼすことその他、子を耐え難い状況に置くこととなる重大な危険があることとなっています。

4号の判断に当たっては、国内法において、裁判所は、次のような事情を含め一切の事情を考慮するものとする旨が規定されています(実施法28条2項参照) 

①子が申立人から暴力等を受けるおそれの有無
 例 児童虐待の場合

②相手方が申立人から子に心理的外傷を与えることとなる暴力等を受けるおそ
   れの有無

 例 配偶者暴力の場合

③申立人又は相手方が常居所地国で子を監護することが困難な事情の有無
 例 申立人がアルコール依存症である場合、相手方が帰国後に逮捕・刑事訴追
   されるおそれがある場合、相手方が帰国後に適法な在留資格が得られないお
   それがある場合など

 

返還手続きの流れ

裁判所で子の返還の申立てをする場合には、次のような流れになります。下記は一例です。

 

中央当局に対して援助申請

裁判所で返還申立て(東京家裁・大阪家裁)

※事案により、出国禁止命令・旅券提出命令も申立てるか検討します。過料は
   旅券提出命令のみです。

※相手方の所在が判明せず、申立書が送達できなければ、申立は却下されま
   す。

※申立てにあたっては、返還事由(法27条1号~4号)をもれなく記載する
   必要があります。

※相手方の住所の閲覧、謄写には相手方の同意が必要です(法62条4項)。

第1回期日

※争点整理

※和解・調停の可能性についても意向聴取します。

※調査官調査をする場合(子の異議の主張の場合など)には、第1回期日に十
   分に打ち合わせが必要となります

調査官調査は、第1回期日~第2回期日の間が基本となります

期日間に準備書面提出、書証の提出が必要です(翻訳必要)

第2回期日

※必要に応じて本人尋問があります。

※必要に応じて和解勧告がありえます。

※当事者の同意により調停もありえます。

調停により、子の返還の合意が成立した場合には、裁判所による決定はなされません。

裁判(決定) 返還を命じる決定であったと仮定。

即時抗告

抗告棄却 返還が確定

↓任意の返還がない場合

(履行勧告(121条)も考えられます)

 

下記もご覧ください

国際的な子との面会交流

国際的な子の返還・子との面会交流を子の元々の居住地国の配偶者から申立てられた方へ

ハーグ条約関連のご相談

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